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■第三回(「おおさかCBネット・NEWS LETTER」第3号より)
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プロフィール:(いしかわ・りょういち)龍谷大学 経済学部 教授 1949年 愛知県生まれ。
大阪市立大学大学院経済研究科博士課程単位修得
今回、大阪府CB起業家応援事業。先進的CB公募(B)選考委員長を務める。
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コミュニティビジネスとは、イギリスのグラスゴーにおいて脱工業社会(経済のサービス化)における失業問題の特性(需給のミスマッチ)に注目して、長期失業中の元工場労働者に新しい技術とコミュニケーション能力を身に付けさせ、労働市場(主にサービス産業)に復帰してもらうことを目的とした媒介的労働市場(intermediate
labor market)政策の実施過程で、それを担う非営利事業を指して使われたのが始まりである。
それゆえ、イギリスにおいては、コミュニティビジネスは、地域課題解決もさることながら、なによりも失業対策・雇用創出の担い手として期待されていたといえよう。しかし、大量の公的資金が投入されたこともあって、多くのコミュニティビジネスは、公的資金に安易に依存する傾向を強め、現在では、あまり良い意味には使われず、替わって社会的企業という用語が一般的になっている。
他方、日本ではコミュニティビジネスは、「地域社会、暮らしの問題を事業手法を通じて解決する」ものと第一義的には定義され、雇用創出は、その副次的効果として語られてきた。とはいえ、失業問題の深刻化を背景にコミュニティビジネスに雇用創出効果を期待する声は日増しに高まっている。例えば、厚生労働省が昨年5月に発表した「雇用創出企画会議第一次報告書」は、10年後のコミュニティビジネスの雇用規模は90万人(現在は6万人)に達するとの予測をおこなっている。
しかし、周知のようにNPOおよびコミュニティビジネスで働く有給スタッフの収入は低く、一部の介護系を除けば「実質的な雇用」を創出しているとは言い難い状況にある。それは、コミュニティビジネスの多くの分野が、市場労働とアンペイドワーク(家事労働や地域社会の助け合い)の間のグレーゾーンにあるからである。私たちが地域で安心して暮らしていくうえで必要なサービスでありながら、(現時点では)市場ベースにも行政ベースにも乗りにくい分野こそNPOやコミュニティビジネスが活躍する分野であり、それはとりもなおさず、NPOといえども有給スタッフのみの働きでは事業ベースには乗りにくい分野である。
この隘路を脱する方法は一つしかない。人々が共感する事業目的を掲げることによって、外部から様々な必要な資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ、情報)を獲得し、それらを目的達成に向けて有効かつ効率的に使い、最大限の事業効果をあげることである。確保すべき資源のなかで最も重要なものは寄付でも助成金でもなくボランティアである。多くのボランティアの参加によって有給スタッフの「実質的な雇用」創出が可能になるのである。
しかし、事業展開は、往々にしてボランティアを遠ざけることになりがちである。また、事業の継続が自己目的化し、社会改革というミッションが後退しがちになる。そうなれば、NPOやコミュニティビジネスは、単なる「営利を目的としない会社」に変質し、社会的支持も社会的変革力も失うことになろう。最近、大手の介護系NPOが続々社会福祉法人に転換しているのを見るとき、そうした危惧を私は強く感じる。
日本では、従来、事業、ボランティア活動、社会改革(運動)の3者を「互いに別なもの」「互いに相容れないもの」と考える傾向が強かった。そのことが互いの活動や事業を魅力の薄いものにしてきた。NPOは、この3者を有機的に結合する主体として登場してきたことに画期的な社会的意味があると私は考えている。多くの人々が共感できる目的を掲げ、様々な人々が参加できる機会を保障し、より望ましい社会を実現しようとする志向を持ち続けるという困難な課題を引き受けることこそコミュニティビジネスの独自性であり、成功する道であると私は思う。
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