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[第一回]「進化するコミュニティビジネス
[第二回]「阪神優勝とコミュニティビジネスとの深い関係
[第三回]「事業とボランティアと社会改革
[第四回]「なくなれ、あなたのコミュニティ・ビジネス
[第五回]「『共感をマネージメントする事業力 』でしぶとくいこう!
[第六回]「ビジネス・モデルが悩みの種…
[第七回]「CBもみんなですれば怖くない!
■第一回(「おおさかCBネット・NEWS LETTER」第1号より)

進化するコミュニティ・ビジネス

加藤氏写真 加藤恵正

プロフィール:(かとうよしまさ)神戸商科大学商経学部教授 1952年、神戸市生まれ。
 慶応義塾大学経済学部、神戸商科大学大学院経済学研究科卒博士(経済学)
 今回、大阪府CB起業家応援事業・先導的CB公募(A) 選考委員長を務める。


  コミュニティ・ビジネスの最も重要な特質は、その「変化」にあるようだ。ここ数年、地方自治体による支援もあり、急速にその活動が認知され多様なスタイルのコミュニティ・ビジネスが活動をスタートさせている。こうした社会性のある新しい事業にたいし、自治体が積極的に手を差し伸べることは大変結構なことである。前例主義の呪縛から離脱し、新しい分野を切り拓く可能性への支援は、次世代のビジネス育成という視点からも重要なことである。その際、かかる活動の定義が先行し、多様性と絶えざる変化を特色とするコミュニティ・ビジネスを硬直化させてはならない。コミュニティ・ビジネスの社会的認知は、一方で既往社会制度のなかでの固定化をも意味している。コミュニティ・ビジネスのダイナミックな変化が、社会・地域ニーズへの機動的即応を可能ならしめているということもできよう。コミュニティ・ビジネスの本質を陳腐化させない配慮が、今後政策サイドに必要なのかもしれない。

 コミュニティ・ビジネス発祥の地である英国においても、コミュニティ・ビジネスは進化を続けている。Pearceによれば、1980年代の英国において「コミュニティ・ビジネス」という言葉は一般的であったが、現在この表現は「地域」をベースとする事業活動の総称としてどちらかというと限定的に用いられており、特定地域にこだわらずに展開する「ソシアル・エンタープライズ(社会的企業)」と差別化して用いられている。その意味において、コミュニティ・ビジネスはソシアル・エンタープライズの一部ということもできよう。

 2002年、英国政府は「ソシアル・エンタープライズとは社会的目的を有するビジネスであり、利益はその活動に再投資されるかコミュニティに還元される」とした。これまでの論者の定義を整理すると、1)非営利組織であること 2)経済活動によって社会目的を達成しようとしていること 3)利益は個人に分配されない 4)組織構成メンバーは同等の権利を有し民主的運営がなされていること 5)独立組織であり社会的な監査を受けていること などがその特徴としてあげられる。もっとも、こうした特色は従来のコミュニティ・ビジネスなどのそれとほぼ同様で、あえてソシアル・エンタープライズの特色をあげるとすれば「社会技術を駆使したイノベーション主体」という点が不可欠であろう。死蔵資源を見出し、地域社会の活動を再編成・再編集することで、地域イノベーションの促進を企図するソシアル・エンタープライズは、社会起業家としての機能を果たしていることになる。

 こうしたソシアル・エンタープライズの特色は、1)新規商品開発・新たな市場の創造 2)社会的目的を有していることによるマルチステイクホルダー型組織運営 3)資金面での自立、複合機能型組織へのシフトに象徴される変化を続ける組織などが指摘されている。このうち、複合機能型組織への移行は、社会性と経済性を両輪とするソシアル・エンタープライズのハイブリッドな特性を勘案すると必然的な変化ともいえる。多様な資源の活用、多層的ステイクホルダー群との関係は、「範囲の経済」をベースに機能面における複合化を可能にしているのである。

 わが国のコミュニティ・ビジネスが、今後どのような形で発展していくのかは未知であるが、かかる事業の社会的要請は大きくその「変化」に期待したい。


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